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幻と現実
静かに閉まったドアを見つめて、ぼんやりと考える。今、何が起こったのかよく理解できていない。というより今俺の目の前にいたのは本当に奏太だったのだろうか。
俺に追いつこうと努力していたと言っていた。四年間何の連絡も寄越さずに、自分で納得するように走ったのか。
あの時、後四年待ってくれと、そう言ってくれさえすれば。四年だって待てる自信があった。こんなのは一方的な気持ちの押し付けだ。
生温くなったビールを一気に流し込む。その缶をぐしゃっと握り潰し、シンクへ投げつけた。ステンレスのシンクにアルミ缶が当たり大きな音を立てた。
叫びだしたいような衝動にかられ、上着を掴むとそのまま夜の街に出た。
気がついた時は、したたか酔ったのか店の外に追い出されていた。こんなひどい飲み方をしたのは大学生の時でさえなかった。俺は酔っ払って道路に座り込んでしまっていた。
誰かが声をかけてくれたような気がした。そして次に目が覚めた時はなぜか警察署のソファに寄りかかるようにして座っていた。
気持ちが悪くて吐きそうになり、そのままトイレに連れて行かれまた記憶が切れた。
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