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四年をかけて俺に追いついたと告白した割に、なんであんなにあっさりと帰ったのかと。考えれば考えるほど腹がたってきた。
断ったのは俺。
……今回断ち切ったのは俺のはずなのに。
翌日の日曜日はアパートの掃除をして時間を過ごした。ほとんど使ったことのないキッチンを磨き上げた。綺麗になるにつれて、少しずつ前向きに考えられる気がしてきた。
なんだか少しだけ楽しい気分になって、日曜日の夜は自分で簡単な食事の支度までした。俺だってやればできると思った。
その日の夜は気分良くベッドに入り、来週から頑張れると思いながら眠りに就いた。
それなのに月曜日の朝は……最悪の気分だった。自分でも理解できない程落ち込んでいる。
いつもなら五分とかからない身支度が十分かかっても終わらない。冷たい水で顔を洗って、「よし」と、声を出してからアパートを後にした。
「おはよう、木村。体調はもういいのか?」
大野に声をかけられて一瞬ドキッとする。
「な、何の話?」
「え?お前、金曜日に具合悪くて早退したろ」
ああ、そのことかと納得する。大野が俺と奏太のことを知っているはずがないのに俺は何を驚いたのか。
「もう大丈夫。悪かったな、迷惑かけて」
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