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その盃には蜜と毒
そ知らぬ王はそれを飲み
苦しみながら息絶える
王の死をみた女王は
狂ったように泣き叫び
死した王に口づけた
僅か残った蜜と毒
女王殺すにゃ充分だ
独り残った姫君は
死した二人を目の前に
優しい笑みを浮かべてる
古き主は死に絶えて
新たな主が城につく
その盃には蜜と毒
望みのままに手を出した
己の欲に溺れるものよ
たった一度の誘惑が
いつか己に返るなど
いったい誰が気づいたか
月日流れて姫君は
きれいな后と変わりゆき
かわいい娘が成長し
娘生まれた誕生日
瑠璃の盃蜜注ぎ
口に含めばその味は
甘く哀しい死の薫り
永き宴は幕を閉じ
新たな宴幕開ける
その盃には蜜と毒
新たな宴が終焉を
迎えるときに使われる
さすれば我はいざ使わん
宴に飽きしその時に
甘く哀しい死の毒を
そっと注いで飲ませよう
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