寂れたロボット

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カンカンカン 暗い空間の中、鉄の錆た匂いのする空間の中で、鉄と鉄がぶつかり合う音がしていた。今にも壊れそうな人の形をしたアンドロイドが必死にハンマーらしい物を手に持って別のアンドロイドの手と腕を繋ぎ合わせようとしていた。 「死んじゃいけない。生きろ。生きるんだ。」 アンドロイドは性別が無いので彼と呼ぶのは正しくないのかもしれないが、ここでは彼と呼ぶことにしよう。 この工場の中では彼しかいなかった。昔は他にも人や他のアンドロイドの仲間がいたはずなのだが数百年経ってしまい、人は死に、他のアンドロイドは錆びたり壊れてして次々に消えていってしまい遂には彼一人になってしまった。彼は人からアンドロイドの仕組みの技術を学び、自分で修理できるようになった。でも、彼はひとりぼっちだった。彼は孤独であった。が、10年前に彼はこのままではいけないと人から教えてもらった技術で仲間を直そうと考えた。 カンカンカン 「出来た。出来たぞ??」 直し始めて3年経ち、遂に完成した。工場で1番仲の良かったロクという仲間だ。ロクは彼と違いアンドロイドでは無いがとても頼りになる仲間であった。 「ロク、久しぶりだな。」 「サン、サンなの か?」 二人は抱きしめ合った。10年分の再会である。 「だが、俺は死んだはずだ。あの時、工場が爆発して・・・」 サンは声を震わせて 「そうだ。お前は死んだ。みんなも。師匠も。俺がアンドロイドの部品を取りに行っていた時に工場は焼け後だけだった。でも、他のみんなは記憶保存装置が焼かれていたがお前だけはかろうじて無事だった。だからお前だけは何年経っても直したかった。」 「他のみんなはいないのか。お前が生き残ってくれて良かった。アンドロイドを作る事ができるのはお前と師匠だけだからな。でも、なぜ俺を生き返らせた。」 「寂しかった。この10年の間ずっと。工場の外に出ても工場用アンドロイドを雇ってくれる所はどこも無い。この工場が俺の居場所で俺の仲間はこの工場の仲間だけだった。このまま永遠に1人だと思うと堪らなく寂しくて、悲しくて、嫌になっちまうんだ。」 サンは鉄が剥き出しになった手を見つめて言った。 「大丈夫だ。これからは俺がいる。二人で生きよう。」
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