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吉川 緋小夜と書かれたホワイトボードを中指の第二関節で軽く二回叩いて、自己紹介を始める。
「私が貴様ら欠陥品の担任、吉川 緋小夜だ。海軍省から派遣された、階級は中尉だ」
教卓の上に乗っていたドッグタグとデバイスを持った緋小夜は、続けて口を開く。
「早速だがお前たちにこの学園の事を手短に説明する。机の上に置いてあるドッグタグは無くすなよ、この学園でのお前たちの唯一の身分証明書だ。それに全て記憶されて隣のデバイスにデータが転送される、二つあるだろう。片方は首から、もうひとつは足首にでも付けとけば戦場に落っことしても届くかもな」
ドッグタグとデバイスの説明を終えると、丁度チャイムが鳴って教室の自動ドアの前で立ち止まる。
「この後は第一体育館で集会がある、軍人たるもの五分前行動だ。欠陥品でもそれ位は出来てくれよ」
最後まで嫌味を言い放って出て言った担任を見送って、ドッグタグの片方を首から掛けて、もうひとつを足首に付ける。
デバイスを起動させて時刻を確認すると、今日一日のスケジュールが表示される。
今は八時四十分、五十分から集会が始まるから今から第一体育館に向かわなければ間に合わない。
そう思って椅子から立ち上がると、早速謎の男に阻まれる。
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