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このまま眠りにつけそうな……つけないような……。
そんなタイミングで、蓮希の静かな声がした。
「栞……ありがと」
改まった蓮希を茶化すように、私は薄く笑んで答える。
「何が?」
「今日すげぇ楽しかった」
「それなら、私こそありがとうだよ」
「何で? 俺、何もしてないじゃん。金だって全部栞が払ってるし」
「蓮希のおかげで、病気の事、ほんの一瞬でも忘れる事出来た。そのお礼だと思って、お金の事は気にしないで。そのくらいの貯金は、私にだってあるし」
「栞、仕事頑張ってたんだな」
「こう見えて、それなりにね」
「だからきっと、神様が長い夏休みくれたんだよ」
「長い夏休み?」
「栞の体をメンテナンスする時間。この際だから、ゆっくり休んじゃえ」
「うん。そうする」
蓮希のポジティブな励ましは、私の心にじんわりと温かく沁みて広がった。
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