立つ鳥跡を濁さず

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苦しいとか辛いとか痛いとか、そんな言葉では説明しきれない。 起き上がる事も、眠る事も出来なくて、こんな事なら死んでしまいたいとさえ思った。 そんなやり場のない気持ちを、お母さんにぶつけてばかり。 『私……何のために生きてるの?』 『もう……私を殺してよ』 こんな治療が半年以上も続くなんて……。 たった一度の投与で、何度抗がん剤治療をやめようと思ったかわからない。 実際、続けられずにやめる人も多いらしい。 でも、一度投与しただけでやめてしまったら、抗がん剤の効果はなくなってしまう。 決められた回数を投与しなければ、抗がん剤は何の意味も持たないのだ。
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