笑い顔

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笑い顔

私の趣味は一人で夜釣りに行く事なんですけど、始めての釣り場に行く時には、前もって昼間のうちにその場所を視察するんです。 やっぱり夜は危ないですからね。 その日も、そうでした。 潮の流れや、足場を調べ、それから餌に使う小魚を獲っていたんですが、ふと振り返ると四十位の見た目に少しヤバそうな男が真後ろに立っていたんです。 「おい君、このポイントは本当によく釣れるがな、夜には絶対来るなよ。危ないからな」 その男はドスのきいた声でそう言い、しばらくの間、私を見ていたようですが、気が付くと居なくなっていました。 それでも、既に準備万端だった私は、そんな事を言われても、夜釣りを止める気にはなれず、夜食や飲み物を購入しに、近くのコンビニにまで車を走らせ、その後、日陰に車を停めて、日が暮れるまで仮眠をとりました。 風の無い良く晴れた夜で、沢山の星が見え、大きな月も空に上り、夜釣りには完璧な夜でした。 八時位から潮が入り始めまして、九時頃に形のいいスズキが一本上がり、気分は上々でした。     
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