第一章 自我と欲望

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 胸の真ん中の方がじんわりと熱くなった。 小春が無駄口を叩いて必死に抵抗しているのに、なんて素直な人なのでしょう。 「 舞華ちゃん、わたりんが本当に望むのは、わたりんがいつも読んでる本に出てくるような服を着てくれることだと思うよ」   紫藤さんは瞬きも忘れて僕の顔をじっと見て、すうっと顔をそらした。片手で口元を隠しながらぼそりとこぼす。 「すいませんそれはちょっと、無理です」  おいこら小春。紫藤さんがせっかくやる気になっていたというのに、なんてことを言うんだ。
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