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馬鹿な奴の馬鹿な姿を見ながらバカなことを考えている間に、大切な大切な青春の一ページ、昼休みの時間が浪費された。
まだ俺が食事中だというのに遠慮なく午後の講義開始十分前を告げる予鈴が鳴った。俺は慌てて残りのご飯ととんかつをかき込んでいく。そんな姿を横目で見ながらも、小春は全く動こうとしなかった。
「午後の講義、また出ない気か?」
俺は教科書の入った重たいリュックを背負って、空の容器の載ったトレイを持ち上げながら、小春に尋ねた。
「胸部外科でしょ?」
「それは胸部外科だからでなければいけないっていう意味でいいんだろうな?」
「そんなわけないじゃん。何言ってんの?」
小春は呆れた様子で僕を仰ぎ見る。小春が首をかしげると、淡いオレンジ色のシャツの襟から黒いブラジャーの紐が覗いた。断じて俺が覗いたんじゃない、ブラ紐が勝手に出てきただけ。
「なにかあったら、代返しといて。お願い」
「無理だろ女子の代返を男子がするのは」
「裏声使えばいいじゃん。はーい、って」
「何でお前を守るために、そこまで恥ずかしい思いをしなきゃいけないんだよ」
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