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「お前は出入り禁止だそうだ。これはオーナーの決定らしいから、この界隈に近寄らない方が身の為だぞ」
真尋に向ける優しさの欠片もない声に、男の顔がみるみる青ざめていく。
「あんたまさか『リョウ』?」
「俺を知っているなら話は早い。金輪際ウミには近付くな。今回は警告だけにしておいてやる」
男が自分の名前を知っていた事の不快感よりも、無断でウミに触ろうとした事に対する怒りの方が大きいのだが、それを教えるほどリョウは親切ではない。
「分かったのならさっさと去れ。目障りだ」
リョウがそう言い終えるなり、男は逃げるように裏路地から走り去って行く。
それを見る事もなく、真尋が消えた店内へと足を踏み入れたのだった。
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