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図書室を飛び出し、教室に鞄を置きっぱなしだった事を思い出す。
校舎の外は既に暗いのに、さっきまでの心細さは何処かへいってしまっていた。
どうしよう!
『2二角成
同銀
6七桂
6二金…』
落ち着け!
『…を混ぜるときは練らない様に手早くサクッと』
パニックの余りからか、落ち着かせようとするからか読んだ本の一文が押し寄せてくる。
『…鍾乳洞が長い年月を掛け、作り上げてきた偶然の産物とも言える造形美の前にあなたもきっと、時間を忘れて魅入ることでしょう』
……間違いない。
あれはクラス委員の神谷 凌。(かみや しのぐ)
『…観光地を訪れると言うよりは、ちょっとした探検家の気分を味わえるかも知れません』
……間違いない!
本のニオイを嗅いでいた!!
図書室から脇目も振らずに目指した教室はもうすぐだった。
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