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「ーーハイ」
その声は教室の後ろの方の席から聞こえた。
それが神谷 凌という人物の存在を知った最初だった。
四月の入学式を終えてクラスの代表等を決めるHR。当然、昨日今日顔を合わせたばかりのよく知りもしない人物を推薦なんて出来ない。
近隣の中学五、六校が通学の対象とバラけており、今この時間は互いに牽制している状況だった。
(…うーん…)
流石の美鶴もこのじれじれとした雰囲気に呑まれていた。
「よし、…じゃあ」
状況を打開しようと担任の教師が口を開いた時だった。
「ーーハイ。やります」
後ろの席から聞こえて来た声に美鶴は反応し、振り向いた。
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