1 当番は見た!

7/8
前へ
/41ページ
次へ
通路にしゃがみ込んでいるその男子生徒から、 …スーッ、 フウッ、 というため息にも似た呼吸音が聞こえる。 よく見れば本を顔に異常なまでに近づけている。 明らかに本を読んでいるのではない。 …まさか、…もしかして… その場で固まっていた美鶴に向かって、男子生徒はゆっくりと振り返った。 ばっちり、目が合う。 「…ごっ」 どうしよう!目が合ってしまった! 焦った余り出てきた言葉は 「ごゆっくりっ!」 そう叫ぶと、書架の間を縫うようにして走り出していた。 脱兎の如く、などと言う物ではない。 こけつまろびつといった感じの慌てまくった走り方だった。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加