第2章 了見の夏

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「あら、今朝は早いじゃない」 欠伸を噛み殺しながら一階に下りると、母親の絢子がリビングで新聞を読んでいた。 今日は日曜で薬局の仕事は休みだが、平日の朝と同じように、食事は既に食卓に並んでいた。 洗面所の方から、洗濯機の回る音も聞こえる。 小さな頃から、忙しい母親を兄と二人で手伝ってきたつもりだが、やっぱりまだまだ敵わない。 「おはよ、ママ」 冷蔵庫から麦茶のペットボトルを取り出し、コップに注ぐ。 「今日映画に行くんだ」 母親の隣りのソファに腰かけ、一気にお茶を飲む。 「それで珍しく早起きなのね」 得心がいったようで絢子は頷いた。 夏休みが始まってから、すっかり寝坊癖がついてるもんねぇ-母親はからかう。 「いつもよりも一時間くらい遅いだけだよ~!ママとお兄ちゃんが仕事に行った後すぐくらいに起きてるもん」
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