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「嫌なら一言言ってもらえれば、すぐに離した」
悲痛な双眸で訴えられ、居たたまれない泉夏は即座に瞳を逸らす。
「いきなり触れてしまって、それは申し訳なかったと思うけど。出来ればこの人通りの多い駅前でいきなり大声は-」
-勘弁して欲しい。
乞われたが、泉夏は横を向き押し黙ったまま。
素直に謝る事なんか出来ない。
だってこんな中途半端なまま、別れようなんてするから。
改札まで連れて行こうとするから。
どうしてこんな途中のまま、終わってもいいなんて思えるの。
本当に、そう思っているの-?
「…今更って何?」
駅の入り口付近だから、人の通りは激しい。
泉夏の放った声の大きさに、擦れ違った人達が振り返る。
でもそんな事、今の彼女には関係なかった。
聞きたい人がいるなら聞けばいい。
見たい人がいるなら見ればいい。
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