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「私はその彼女じゃないから、それからどうなったのかは知りませんが」
泉夏は艶やかに、彼に笑ってみせた。
「先生は自分の勝手な想像だけで、彼女を諦めるんですか?先生にとって、彼女はその程度の存在?」
その程度の、存在?-秀王は眉を顰めた。
「彼女の口からはっきり聞いたわけでもないのに?」
揶揄するような泉夏の口調に、秀王は言葉を失った。
「私はもう追いかけてやらない。今度は先生の番。もしも私に何か言いたい事があると言うのなら、今度は先生が私を追いかけて来ればいい」
-そうしたら話ぐらいは多分、聞いてあげる。
言い残し、泉夏は改札口に向かって駆け出した。
人ごみに紛れる直前、唖然としたままの彼を振り返る。
秀王はその婉然とした微笑みにものの見事に囚われ、完全に魅入られた。
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