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その恋を運命と呼ぶのなら
その恋を運命と呼ぶのなら
プロローグ
見上げる空はいつも曇っていた──。
あの人だけはいつだって太陽みたいにキラキラ輝いていて、俯きがちな自分を照らしていてくれていたけれど。
それでもあの頃、心が晴れることはなかった──。
何も知らなかった、馬鹿で愚かな自分はそうと知らずに、彼を傷つけ続けていたんだ。
廊下の窓際に寄りかかりながら、本を手にパラリとページを捲る。
主人公の少年はヒトとは違う遺伝子を持っていた。それは周りと比べてしまえば、猿とヒトほども異なる特別なモノ。時代が違えば、少年は天才として誰からも敬われ、そして慕われていただろう。
けれど、少年が産まれた時代はそうではなかった──。
ヒトとは決定的に違う才能を、畏怖し拒絶したのだ。
少年は嘆き苦しんだ。どうして自分だけが……と。
まるで今のこの世界のようじゃないかと感じた。
三雲空は、悩み事などなさそうにバカ笑いをしながら、自分の前を通り過ぎる同級生たちをぼんやりと視界の端に入れていた。
「碧、お前またサボりかよー」
「いんだよ! 今日は授業とか受けるのダリぃし」
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