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気づいたのは玲奈だった。
ガゼボは間隔を開けて並んでいるが、声をかければ届かない距離ではない。
チラチラと隣を気にしていた玲奈が、「ね、隣の人、俳優さんかな? どっかで見たことある?」と耳打ちしてきたのだ。
お忍びで芸能人が来ることもあるのだろうと思ったが、サングラスをしたまま本を読んでいるその横顔は、見たことがあるどころか、嫌になるほど見飽きている整い過ぎた顔だった。
日本人離れした長身に、はおったシャツ越しにもわかる逞しい身体があり、ただそこに居るだけで匂い立つ男の色気を振りまいている。
男でもつい見惚れてしまうだろう究極の男の存在に、佐々は愕然としながらも、玲奈の気持ちが浮き足立っている様子が腹立たしい。
「玲奈、ここは日頃忙しい大人が体を休めに来るところなんだ。そんな風に隣の人をジロジロみてはいけないよ」
「わかってるわよ。芸能人かな? って思っただけよ」
ちょっと唇を突き出す玲奈はやっぱり隣が気になるようだ。
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