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医者は浮気をするから嫌いだと、彼女は言った。
辛い過去があったのだと聞いたのは、粘りに粘ってデートまで漕ぎ付けた初っ端の話だった。
佐々は自分がそれほどもてる男だとは思っていない。
身長は人並みだが高い方ではないし、がり勉タイプなので逞しくもなく、むしろモヤシだ。
医者と言うステイタスが十人並みな容姿に付随しているだけで、たいして面白味のない人間だ。
薄いパレオを纏った玲奈の女性らしい身体のラインに見惚れながら、5年ものつき合いが、今更のように奇跡に思える。
「いつも一生懸命な章之さんが好きよ」
そんな言葉にどれだけ励まされたか。
だから今日こそ決めてやるんだ。
ホテルスタッフとの打ち合わせもバッチリだ。
今日、玲奈のあの綺麗な指に指輪をはめてやる!
佐々はバミューダパンツのヒモをぎゅっと絞った。
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