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私、庄野由紀子、23歳。
容姿にはかなり自信アリ。
学生時代から合コンの女王としてモテまくりだったけど、先輩から紹介されてバイトに入ったこのホテルで見た現実は、しがない弁護士も、ただの町医者も、かすんで見えるものだった。
華やかで、それでいて落ち着いていて、本物の紳士淑女がゆとりの時間を刻んでいる。
そんな世界に、この春私は難関を突破して正式に就職した。
清楚な黒いワンピースに白いエプロンをして、私の所属はカフェテリア。
爽やかな風の抜けるテラスにふさわしい爽やかな笑顔で、休息されるお客様をお迎えする。
優雅な礼儀作法をみっちり仕込まれた私に、何人かの殿方が声をかけてくれるけれど、やんわりとお断りをしている。
好みの問題だとかは贅沢かもしれないが、実は、数多くの女性スタッフが目の色を変えて狙っている男性、おそらく独身……、が一人いるからだ。
フロントは口が堅いので素性は明らかではない。
だが、T長者や成金のようないやらしさがなく、物腰がいちいち洗練されていて、歩いているだけでため息が出そうな良い男なのだ。
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