眠り姫の憂鬱

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 そんなことを考えながら横になって、今日も飽きずに昼寝しようとしている。エアコンから吐き出される冷気が充満した部屋の中で、頭までかぶったタオルケットは冷たくて、寝返りを打つたびに洗い立ての柔らかい起毛が肌にくっついてきた。奪われていく体の熱と一緒に、押しつけがましい常識とか、催促を受けている進路希望とか、夏休みの宿題とか、まとめて室外機から部屋の外に追い出してしまいたい。  この世の中から逃げてる感覚に、五感が麻痺していくようで、私は心地よい眠りに誘われていく。次に目が覚めた時には、きっと世界には戦争がなくて、難民の子どもは救われて、ついでに意地悪な大人はいなくなる。なんていう妄想が頭の中で渦を巻いて、全部混ざって泡になって、最後は音もなく消えていく。そして最後には純粋な私だけになって、またいつもの毎日が始まるのだろう。  やっぱり女子高生って怠惰で儚い。
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