第42話 トラウマ

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「先輩って、甘いもの好きなんですか?」 休憩が重なり、同じようにスタッフルームで休みながらパンをかじる小鳥遊に尋ねる。 「え?何で?」 「いや…いつもチョコパンとかデニッシュパンとかドーナツとか。 そういう甘いもの食べてるなぁって思って」 お礼の品の参考にできないか掘り下げて問いかける。 「けっこうな甘党だと思うよ。 クッキーとかも大好きだし」 なら、クッキーを作って渡そうかな…。 そう考えた時だった。 ピコン!とLIMEの着信音が重なる。 小鳥遊の方にもLIMEが届いたようだ。一方、自分の送り主はアキラだった。 『バイトが終わったらすぐ帰って来い。 晩飯作って待ってる』 贖罪の意味もあって、家事や炊事などをしようとすると毎回アキラに止められる。特に食事に至ってはアキラは一切作らせてくれなかった。 そこまで怒らせてしまったのかと落ち込む半分あたり前だと自責していると、龍がこっそり教えてくれた。 『ミカが家に来たら自分の手料理食べてほしいって頑張ってたんだよ。 もう怒ってないから甘えとけばいい』 『でも………』 『実はアキラってさ、ミカと再会するまで料理壊滅的に下手だったんだよ。唯一まともに作れたのが雑炊だけ。今ではほとんど何でも作れるけどな』 『それって…………』 『そう。 ぜーんぶ、ミカのために練習したんだ。だから、食べてやった方が喜ぶぞ。 お前の手料理は後々食わせてやれ』 アキラさんが料理苦手って意外だった。でも、昨日のご飯はそんなこと思わないくらいおいしかった。 こんなにも大事に、大切にしてもらってるんだな。 自然と笑みがこぼれる。 『分かった。すぐ帰るね』 『やっぱり迎えに行く。 終わったら連絡しろ』 『分かった』 返信した後、小鳥遊を見ると、マジかと脱力するような顔をしていた。
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