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うろ覚えな知識しかないけれど、食べて大丈夫か心配だった。
「うん、でも大丈夫だと思うわ」
ニコニコと笑顔を私に向けるその飼い主の女性は、手持ちのコインケースをポケットの中から出し、私に千円を差し出した。年齢は多分五十歳前後と推定した。
「あの、そんな! 受け取れません」
私はぶんぶんとかぶりを振った。このサンドイッチは私の手作りだ。しかもスーパーの割引価格で購入した食材を使って、作った。
材料費でちょうど千円位。
こういうサンドイッチは、お店で買うと高いのだろうけれど。
「でもこんなオシャレなサンドイッチ、高いでしょう」
彼女はベンチの上に置いてある、私の小さな籠のバスケットバッグの中を見ながら言う。
赤チェックの紙ナプキンで包んだ、彩が綺麗に出来たサンドイッチ。籠のバスケットと何故かよくマッチしていた。オシャレに見える。買ったものだと思われたのは意外だった。
「いえ、あの」
これは私が作ったものだと、説明しようとした。
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