サンドイッチショップ『ラビリンス』

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 しかしその人は「いいから!うちのジョンが御免なさいね」と強引に千円を私に押しつけるように、私のワンピのポケットに入れた。 「あ、あの」  私は困惑しながら千円札をポケットから出し、返そうとしたけれど、その人は犬を連れて公園から逃げるように去って行った。 「あ、行っちゃった……」  私は千円札をにぎりしめながら、呆然と立っていると、視線を感じた。何となく、道端の方に視線を遣る。あの時の、白バイのお巡りさんが立っていて、こちらをジッと見ていた。 (や、やばいっ。今の見られちゃったのかな)  体に緊張が走り、背筋がヒヤッとした。秋の陽の落ちは早い。西に傾き始めた。逆光でよく見えないけれど、確かにあれはあの時のお巡りさんだ。  バイクを停車させ、こちらに向かって歩いて来る。千円札を受け取った事を今度は怒られるのだろうか。華奢な身体に青い制服がサマになっていてかっこいい。  私は何を言われるのだろうと、恐怖で怯えた。
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