呪い

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呪い

「いいですか。これは他言無用ですよ」 Oさんは恐る恐る話をし始めた。 「私の家は代々呪われているんですーー」 Oさんはプライバシーのために記すことはできないが、日本で数十人しかいない珍しい苗字の持ち主で、それは由緒正しい身の上を証明もしている。そのOさんの家はある不吉な呪いが掛けられているというのだ。 それは、成人になると同時に起こるらしい。一体何が起こると言うのか。 「女がね、現れるんですよ」 「女……?」 「女と言っても姿は見えないし、声も聞こえないんです。ただずっと、張り付くような視線を感じるんです」 Oさんが成人を迎えた日。家族は、いや屋敷全体が異様な緊張に包まれていた。Oさんは現当主である実の祖父に起こされ、白装束に着替えると寺院へと向かった。 待ち構えていた住職と僧侶数人に案内されて寺の本堂へと進んだOさんは、共にお経を唱え、寺院裏の滝に打たれた。 そうして家に帰り、自室に戻ると視線を感じ始めた、と言う。 「どんな感じの視線なんですか?」     
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