3人が本棚に入れています
本棚に追加
呪い
「いいですか。これは他言無用ですよ」
Oさんは恐る恐る話をし始めた。
「私の家は代々呪われているんですーー」
Oさんはプライバシーのために記すことはできないが、日本で数十人しかいない珍しい苗字の持ち主で、それは由緒正しい身の上を証明もしている。そのOさんの家はある不吉な呪いが掛けられているというのだ。
それは、成人になると同時に起こるらしい。一体何が起こると言うのか。
「女がね、現れるんですよ」
「女……?」
「女と言っても姿は見えないし、声も聞こえないんです。ただずっと、張り付くような視線を感じるんです」
Oさんが成人を迎えた日。家族は、いや屋敷全体が異様な緊張に包まれていた。Oさんは現当主である実の祖父に起こされ、白装束に着替えると寺院へと向かった。
待ち構えていた住職と僧侶数人に案内されて寺の本堂へと進んだOさんは、共にお経を唱え、寺院裏の滝に打たれた。
そうして家に帰り、自室に戻ると視線を感じ始めた、と言う。
「どんな感じの視線なんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!