とある吟遊詩人が綴る幻想戯曲集

まずは前世の話を少々

待ってってば！ 何勝手にサイコロ振ってるの!?僕まだやるなんて一言も言ってない！！

『ははっ、やだなぁ……私もあなたに拒否権があるだなんて一言も言っていませんよ♪ そもそも神たるこの私がクリエイティア暦659年の聖者の月25日正午にあたる時間に死んだ無数の異世界人どもの魂をわざわざかき集めてきたのは、テストプレイ用のゲーム盤の駒としてこの世界に送り込む為です。 ただ、誰でもいいというわけじゃない。 魂だけの存在となっても自我を保ち続けられる人間じゃないと、前世の記憶(PLとしての意識)を持ったまま転生することは出来ないのです。あなたの様な人はとても珍しいのですよ。 ……ふふっ、そんなに怒らないで下さいな。 水鏡心さん。 私は結構あなたの事を気に入っているのですよ？ ようやく気の合いそうなプレイヤーと巡り会えたのですから。

さあ、キャラメイキングの続きをしましょう？ 前世と同じように、全てのステータスを私任せにしたいというのならそれもいいでしょう。 ですが……

神に全てを委ねるのが嫌だと言うのなら、運命のダイスはあなたが振りなさい』

……ダイスを貸して。自分で振るから。

『ふふっ、やはりそうこなくっては！ゲーム盤には自分の意思で着いてもらわなければ面白くありませんからね！』

サイコロ振ったよ。 こんなんでいい？

『もう出来たんですか!? どれどれ………ふむ。
……これは、また、ずいぶんと極端なステータスになりましたね。 POW(精神力)とAPP(魅力)が最大値でSIZ(体格)とSTR(筋力)が最小値。 EDU(教養)がやや高めであとは平均値、と……ちなみに、後3回までステータスの振り直しができますが……』

いらない。

『SIZだけでも振り直してはいかがですか？ 筋力はまだレベルアップやドーピング等でカバーできますが、体格だけは後天的な要素ではどうにもなりませんよ？』

このままでいいよ。 僕は振り直しはしない主義なんだ。

『なかなか男らしい主義ですね……ふふっ、その意気や良し！ ならば、6ポイントを好きなステータスに振り分けて下さい。 これは平均値を大幅に下回る値を出してしまったプレイヤーに対する救済措置です』

全部CON(体力)に振るよ。