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エピローグ
ティッシュを抜き取り綺麗に折りたたむと、俺は静かに鼻をかんだ。
ゴミ箱にティッシュを捨て、顔を上げると、窓から射し込む朝陽の眩しさに目が眩んだ。
夜勤明けであることに加え、泣き腫らした目にこの朝陽の強い光はなかなかに堪える。
俺がゾンビの類だったら完全に消し飛んでいるところだ。
じわぁ……と視界が赤白く染まる中俺はぼんやりとそんな益体もないことを考えていた。
あの後、溢れ出る涙を止める術はなく、ひたすらに泣き続け、今しがたようやく泣き止み、徐々に落ち着いてきたところだ。
おかげで目は大分晴れ、鼻も真っ赤になっている。
今日が公休日で本当に良かった。こんな顔で人前に出ることは流石にはばかられる。
涙と鼻水を拭くのに使ったティッシュは膨大で、ゴミ箱の中に山をつくっている。
一人暮らしの成人を過ぎた男が朝方から何を大泣きしているのだ、と思うところもあるが、不思議と気分は落ち込んではいない。むしろどこか清々しさすら感じている。
目を逸らしていたものとようやく向き合うことが出来、自らの内に溜まりに溜まっていたものを吐き出せたからかもしれない。
ただ、それでもやはりすべての苦さはなくならないが。
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