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クルスはルアンナに一目惚れしたと言った。そしてルアンナにしつこくつきまとった。
ルアンナが根負けして結婚したのが三ヶ月前。
そして現在、そろそろ夫婦生活にも慣れてきただろうかというところである。
ルアンナは若くして両親を亡くしている。友人も、その性格のためにできなかった。魔術師組合の人間にも大して親しい人間はいない。いつも一人だ。
そのため人づきあいは決してうまくなかった。というかはっきりきっぱり下手である。
そんな彼女が結婚することになるなどと、町の誰が予想しただろう?
実際その結婚が公になったとたん、町の人々は災害が起こったときのための準備を一斉に始めた。中には神にお百度参り――早朝のお参りを百日続ける――をした者までいた。それほどに、町にとっては青天の霹靂だったのだ。
だがそんな彼らの心配をよそに、彼らはうまくいっていた。クルスは不思議なほどに頑丈な男だった――体力的にも精神的にも。ルアンナの激情を難なく受け止め、付き合い続けている。
いわく、「俺がプロポーズしたのに見捨てるわけないでしょ?」
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