第3話

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「鈴蘭、何してるの?新入りの女中にいきなり手裏剣投げて」 才蔵は咎めるように少女を睨む。 鈴蘭と呼ばれた少女はビクッと肩を震わせる。 「才蔵様、この子は一体……」 怯える少女を庇うように才蔵に話しかける。 「あぁ、これは鈴蘭。猿飛佐助が拾ってきた子供で上田城お抱えの薬師。」 「薬師?こんな小さい子が……」 「子供だからと馬鹿にするな!」 「ほら、すぐに怒るでしょ?典型的な子供。」 煽るように才蔵が言った。 「才蔵様…そのように煽らなくても……」 宵は苦笑する。 「鈴蘭ちゃん?…私は幸村様にここで診てもらうよう言われたのだけど……貴女でいいの?」 これではらちがあかないと、宵は本題に入る。 「あぁ、幸村様から聞いてるよ。全身怪我してたんだろう?…才蔵、出ていって。後で診るから」 「はいはい」 才蔵が去ると、鈴蘭は襖を閉めて宵を正面に座らせた。 「幸村様が言った女がまさかこんな美人だとは思わなかった……」 鈴蘭はボソッと呟いた。 「え?」 「何でもない!私は鈴蘭、あんたは?」 「宵。」 「宵……ね、分かった。じゃあ傷を見せてもらっていい?」 「分かった。」 宵は頷くと着物を脱いだ。 そこには着物着たた上から見える手や腕、足首などには包帯はないものの、その他の部分には包帯が巻かれてあった。 「こんなほぼ全身に傷が?」 「そういう訳じゃないんだけど、やっぱり包帯巻いてるとなんか落ち着く…というか……」 そう言って、包帯を解いていった。 すると腕や脚に刃物で切れたような傷がいくつもあった。 「この刃物で切れたような傷は何かしら?」 「刃物……?」 「怪我したのはいつって言ってたっけ?」 「5日…くらい前……?顔の擦り傷は翌日には治ってた気がする。」 「………だとするとすごい回復力ね……それに傷は全部ほぼ塞がってるけどこの刃物、かなり切れ味良いはず……そう考えると傷もかなり深いはずよ……でも傷はもう治っていて………」 鈴蘭は傷を見ながらブツブツ呟いた。
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