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「私の怪我………何かおかしいの?」
少し不安になった宵は問いかける。
「ん?まぁおかしいっちゃおかしいけど傷はほぼ治ってるわ。でも治りが早すぎるのよ。これ多分傷的にかなり鋭利な刃物でつけられた傷。そして鋭利な刃物はそれだけで深い傷になる。で、深い傷になったはずなのに異常に治りが早い。」
「そう……じゃあもう問題ない?」
「まぁ………そういうことね」
「わかった、ありがとう」
宵は素早く着物を着て、出ていった。
宵が出ていくと、才蔵が入ってきた。
「傷の具合はどんなだったの?」
鈴蘭の目の前に座り、宵の容態を聞くが鈴蘭は答えない。
「……………」
「やっぱりアンタ俺のこと嫌いなんだね。」
「当然だ!私は甲賀忍である佐助様にお仕えしているのだ!敵である伊賀忍など信用できる訳なかろう!」
鈴蘭は戦で行き場を失ったところを佐助に拾われたのだ。
「はいはい」
才蔵は聞き流すように袖をまくり、包帯が巻かれた腕を見せる。
包帯からはまだ血が滲んでいた。
「やはりまだ塞がらないか………これは風魔の鎖鎌にやられたんでしょ?」
「まぁね。ただの風魔ならこんなことにはならなかったけど相手が悪かった。あの『夢幻』相手に死ななかっただけでも運が良かったんだ。」
「『夢幻』?」
「知らない?じゃあいいよ、とにかく強いって事だけ覚えとけば。」
「それだけじゃいざ会った時分からないじゃない」
「姿は誰も知らないよ。何枚も着物を羽織り、全身包帯を巻いていて吹き矢が上手い忍ってことしか分かってない。」
「そう………なんだ……」
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