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そうして宵と鈴蘭と佐助は山に向かった。
「これは捻挫に効く、これは咳に効く、これは熱に効く……」
鈴蘭は自慢げに宵に薬草とその効果を説明していく。
「なるほど………ってことはこれは違うよね?」
宵が指したのは熱に効く薬草に良く似た毒草。
それに気づいた佐助は驚いた。
「よく分かったな!その違いは薬師でも見分けにくくて、間違える事もあるんだ」
「そうですか………確かに似てはいますが同じ、とまでは言い難いと思います。些細な違いならたくさんありますし。」
「凄い観察力だな………」
佐助が感心したように呟いた。
「ふふ、お褒めいただき光栄です。」
お昼には沢山の野生の動物をみた。
「佐助様ー犬がいる!」
鈴蘭は子犬(にしては大きい)に近づく。
「鈴蘭、それは犬でも山犬だ。噛まれるぞ。」
「噛まれるの!?」
改めてよく見ると山犬は鈴蘭に鋭い牙を向けて威嚇している。
鈴蘭は撫でようとした手をすっとどけた。
しかし宵ははそっと近づき、屈んで目線を合わせて、優しい手で頭を撫でる。
「あ………」
山犬は気持ちよさそうに宵に委ねるように手に頭だけでなく頬もすりよせる。
「ふふ。可愛い」
宵は山犬を子犬のように手懐けてしまった。
「な……なんで……あんなに警戒してたのに……」
「宵には警戒しなくていいって判断したんだろう」
佐助は悟ったように呟いた。
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