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それから3人は沢山の薬草を取り、日暮れには3人の背負ってきた大の大人が隠れるくらいの大きな籠が山盛りになった。
「沢山取ったなぁ……」
「こんなに取って、山の生態系は崩れないんですか?」
宵は少し不安げに聞いた。
「あぁ、大丈夫。此処は幸村の山だから俺たちしかここで薬草を取らない。だからこれくらい大丈夫だ。それにこれだけあれば数月はもつぞ。」
「宵、薬にするのも手伝ってね!」
鈴蘭がご機嫌な様子で言った。
今日の1日で2人の距離はぐんと縮まったようだった。
そろそろ帰ろうかと話していた頃、鈴蘭が突然走り出した。
急な山道をもろともせずぐんぐん登っていく。
宵と佐助もすかさず追いかけるが、木々の間に紛れるように走られるため、体が大きい佐助は本来の速度で走れなかった。
そのため宵が
「佐助様!鈴蘭は必ず私が連れ戻します!そこで薬草を見ていてください!」
そう言い残し、更に加速して言った。
宵に言われ、その方がいいと判断した佐助は薬草の所まで戻り、忍の使い魔である使役動物……鷲を呼んだ。
「鈴蘭と宵を探してくれ。見つかったらその上空を飛んでくれ。」
忍の使役動物は幼い頃から心を通わせ、1人前になる頃には完全に従える事が出来る。
鷲は佐助の指示に従い、空高く飛んでいく。
一方鈴蘭を追う宵はついに鈴蘭に追いつこうとしていた。
「鈴蘭!どこ行くの!?」
追いかけながら後ろからそう叫ぶ。
すると鈴蘭はすこし驚いたように振り返った。
「宵!?なんでついてきてるの!?」
「それはこっちのセリフ!勝手に走り出すから……何かあったのかと思って………」
鈴蘭は遠くの崖の中盤を指した。
「あそこに万能薬になる薬草があるの!生息地は崖の上とか断崖絶壁とか普通じゃ取りに行けないようなところに生えてるの!だからいつもなかなか見つけられなくて……でも、見つけたから!戦になった時あの薬草で作った薬があるかないかで死ぬ人が全然違うの!私が今行くことで1人でも多く救えるなら私は行く!」
「分かった。でも鈴蘭には危な過ぎる。私が行く。」
「えっ!?」
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