第4話

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2人が上に回ると宵は鈴蘭を説得し始めた。 「鈴蘭は足は早いけど身のこなしはそこまでに見える。なら私の方が……」 「何の鍛錬もしてないただの女中が偉そうにしないで」 鈴蘭は宵を睨みつける。 「貴女が怪我すれば佐助様が悲しむ」 「怪我しなければ良いだけのこと」 「無理よ。下手すれば落ちる。」 「大丈夫だってば!!」 鈴蘭は1人で崖を降りていく。 宵も続こうとしたが、足場的に1人が限界だ。 「無理だと思ったらすぐに言って!手を貸すから!」 「あんたの手助けなんていらない!」 そう豪語したものの、宵の思った通り、体重移動も知らない鈴蘭では簡単に足場が崩れてしまった。 「きゃっ!!」 鈴蘭が近くにあった弦を掴む。 「鈴蘭!!」 宵は縄を鈴蘭の元に垂らすと、鈴蘭はなんとかそれを掴んだ。 すると、かなりの力ですぐに上まで引き上げられた。 「はぁっ……はぁっ……」 鈴蘭は肩で息をしながらカタカタ震えてその場に座り込んだ。 「大丈夫、ちゃんと私が取ってくるから。」 宵は優しく微笑んで頭を撫でて、そっと崖を降り始めた。 断崖絶壁。落ちたら最後、命は無いだろう。 だが宵はまるで慣れているかのように易易と降りていく。 そしてあっという間にその薬草の元に辿り着いた。 「これで良し。」 満足気に頷き、薬草を帯に挟んで崖を素早く登り始めようと岩に手をかける。
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