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その夜、佐助と才蔵は2人で飲んでいた。
月明かりに照らされながら、不意に佐助が口を開く。
「あいつはそんなに疑うほどの奴でもないと思うぞ。」
「…………………」
「鈴蘭を助けて、鈴蘭の為に薬草を取りに行った。…………………命を懸けて。」
「別に死んだ訳じゃないだろ。」
「それでも、お前の助けが無ければ死んでたさ。それに、あの落ち方は受け身を取れない素人の落ち方だ。あれでもまだあいつがどこかの間者だって言うのか?」
「………………それだけじゃ、まだ信用できない。俺は安易に人を信じるなんて命知らずな真似できる訳じゃないから。…誰も…信じられない…」
哀しそうにそう言うと、酒を口にした。
「やはりあいつは無害なのか?」
「だがまだ断言してはいけないだろう。」
夜、広間に集まる数人の人影。
「よし、分かった。俺があいつが無害か確認してやるよ。」
1人の男がそう言って立ち上がった。
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