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第6話
「どうした?元気ないな」
宵が縁側に座っているのを見つけ、大きな男が声をかけた。
「青海入道様!」
宵は顔を上げた。
「長いだろ、俺のことは青海、伊佐の事は伊佐で良いぞ?」
「いいんですか?」
「あぁ、当然だ。それより、暇そうだな?」
青海入道はニヤリと笑う。
「え?」
宵は城下に連れ出されていた。
「あの………何故私を……?」
「ん?なんか元気無さそうだったからな。そういう時は元気な奴に会えば元気を貰えるんだよ。」
青海入道は豪快に笑いながら足を止めた。
そこは小さな寺子屋だった。
野原では十数人の子供たちが楽しそうに遊んでいた。
子供に混じって伊佐入道の姿も見られた。
「お、宵じゃねえか!」
伊佐入道は宵を見つけると名を呼んだ。
宵は頭を下げる。
「どうしたんだ?」
「あぁ、なんか暇そうだから連れてきた。」
暇そう、という言葉をちゃんと理解したのか伊佐入道は宵の頭を撫でる。
「とりあえずガキどもと遊んどけば何で悩んでたのか分からなくなるぜ?」
伊佐はニカッと笑う。
宵はその心遣いに頷いた。
宵はすぐに子供たちに大人気になった。
男の子達と外で追いかけっこをするにも体力が中々尽きず、青海入道や伊佐入道に劣らぬ遊び相手となったし、女の子達と室内で折り紙をするにも、いい先生となった。
「ほら、やっぱりあいつは笑ってる方がいい。」
「だな。……………お前もそう思うだろ?才蔵。」
すると2人の前に才蔵が現れる。
「なんで気づくのさ。ホント、野生の勘って怖いよね」
「野生の勘か………中々正しい表現だな。」
青海入道は笑う。
「……………強いぜ?……あいつは………」
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