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そうして宵は幸村と共に上田城へ行った。
城はとても大きくて、中に入るとすぐに数人の男が幸村の側に来た。
「幸村様!その女は誰ですか!?」
「小助、望郎、十蔵、紹介する。新しい女中の宵だ」
宵は頭を下げる。
「お初にお目にかかります。宵と申します。」
「宵は俺が気に入ってる小料理店で見つけたんだが、川に流されて怪我をして女将に拾われたらしい。更には記憶まで失ってとても不憫なのだ。」
「……それは真ですか?」
十蔵と呼ばれた厳格そうな男が宵に問う。
「はい。真です。」
宵は嘘偽りない目で頷いた。
「…………なるほど。ですがここに住まう以上、多少は警戒が必要です。仮に女子であっても。」
「そうですね、つい先日も才蔵が風魔から奇襲を受けたらしく、怪我をしていました。」
「何!?本当か!?才蔵が怪我を?」
「はい。あの才蔵に怪我を負わせるなど余程の忍でしょう。」
「才蔵………?」
誰?と問うように宵が首をかしげる。
それに気付いた望郎と呼ばれた男が答えた。
「才蔵も僕らと同じ幸村様に仕える同志だよ。普段あまり人前に姿を現さないけど、何か機会があれば会えるよ。」
「普段からいないみたいな言い方やめてもらえるかな?」
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