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その時上から声がした。
見上げると、高い気の上に銀髪の男が座っていた。
「才蔵、そんなところで何をしている?幸村様の御前だぞ!」
十蔵が降りて来い、と言うように注意する。
「はいはい。それより、新しい女中だって?」
「あぁ、宵と言うんだ。才蔵も好みを伝えておくといい。」
「あー…俺はしばらくそいつの飯は食べないよ。怪しいからね。」
当然の様にそう言って、宵は肩を落とした。
「そうですか……いつか食べてもらえるように精一杯務めますね」と、明るい笑顔を見せた。
「ところで……幸村様に仕えている方はどれ位いらっしゃるのですか?」
「幸村様に仕えている人間は数しれないけど、その中でも『真田十勇士』と呼ばれる10人の家臣は幸村様にその実力を認められ、幸村様の側にあることを許された者達なんだ。」
「なるほど……ありがとうございます。」
宵はふむふむと頷いて微笑んだ。
「それでは……誰かに宵の世話係を付けなければいけませんね……」
小助が無言で才蔵を見る。
「才蔵でいいのでは?」
「………ふむ」
十蔵が品定めするように才蔵を見る。
「何かあった時才蔵なら情が移りにくいから殺れるでしょうし…第一、今1番宵を疑っているのは才蔵ですし、ぴったりですね」
小助がとてもいい笑顔を浮かべる。
「なっ……何を勝手に決めて……」
反論しようと才蔵が木から降りる。
「忍のお前と違って幸村様の側近であり家臣の我らは普段から仕事が多過ぎるのだ。」
「偶には忍の仕事以外のものをこなすのも良いのでは?」
「うん、そうだな!頼んだぞ、才蔵!」
と、幸村が言い切った。
主にそう言われればもう逆らうことは出来ない。
「はいはい…」
不機嫌そうに頷いた。
「よろしくお願いします、才蔵様」
宵は頭を下げた。
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