第2章「狂う歯車」

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「えっと、ここをこうして……ハートとか星とか……」 「これをウナギにして、ハコフグとかヒトデとか……」  とりあえずアイラブユー的な文言をウナギで塗りつぶす。  その間に解除されたハコフグ型のモザイクを顔に取りつけて、ランの口元にヒトデを飾る。 「ちょっと、邪魔しないで!」 「邪魔はお前だ、バカ!」  ただでさえ未経験な機械操作なのに、隣で事実を捻じ曲げられているのだから堪ったものではない。 「魚にキスとか、あたしバカみたいじゃん」 「バカみたいじゃなくて、バカなんだよ!」 「言ったな!? この女装男子!」 「なんだと!?」  そして、お互いに加減をしあった取っ組み合い。  頬をつねったり、肩を殴打したりしている拍子に、 「今、胸触ったでしょ!? 変態!」 「触ってないわ! 自意識過剰か!?」  痴漢の冤罪である。  もちろん僕はやっていない。 『残り十秒』 「「あ、ヤバっ」」  せっかくタイムリミットが訪れるまでの時間稼ぎをしていたというのに、御節介なマシンがそれを阻む。  その結果、 「……おい」 「不服なのは、あたしもなんだけど」  ハコフグにキスをするクール系美少女が大量に刷られることとなった。  
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