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――◇――◇――◇――
学校内にて。
僕は男友達と共に昼食を食べていた。
本当は、かざみと二人で食べたいのだけれど、やはり年頃の女性として気恥ずかしいのだろう。
結論から言うと、断られた。
ついでに仁神から罵られた。
と、いうわけで。
校内首位の男と名高い三吉野修二郎、元舎弟の中須賀玄馬、実弟、僕。
個性の強すぎる三人と机を合わせて食事をとっていたのだけれど。
「姐さん。嵐山と会ったって本当ですか!?」
「あいつに付き合って丸二日。流石にキツくなってきた。丁度、キミにもプランの相談をしたかったところだ。もちろん三吉野にも」
鳳よりも長身な筋肉質の男、中須賀に話を切り出された結果、話題は僕のお悩み相談となった。
黙々と弁当を食べていた三吉野がこちらに注目してから頷く。
「この二日でショッピングモールを連続で攻めたのは失敗だと思うぜ。天気が雨になることも想定すれば、快晴だった二日間はアウトドアを攻めるべきだった」
「兄貴の言い分は理解できます。しかし、徳島市に徳島県民が楽しめる観光スポットが少ないということも事実」
人生において、こんなにモチベーションの上がらないデートが存在するだろうか。
しかし、上手く事を運ばなければ収拾のつかないことになる。
嘉菊と中須賀の討論を聞きながら、ただただ目を細めて聞き入っていると、
「鳴門市の魚市場。ここは、楽しい……」
「なんだぁ修二郎。日和とデートする妄想でもしてん――」
言い終える直前に、弟の頭が弁当箱に突っ込んだ。
痛みを伴ってまで、自分のキャラを徹する姿勢は感服に値する。
真似する気にはならないけれど。
「ここは行ったことがある。魚料理が恋しくなった時には、いつもここだ。いっぱい買ったら鳴門わかめをタダでくれる事があるし」
「最悪、香川県まで行く?」
「三吉野の意見は有難いのだけれど、ランを相手にここまでやったら、本気で好きになったと思われかねない。なるべく真剣みのないデートプランはないだろうか」
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