第3章「予想外の猛襲」

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 しかし、嘉菊の解説は言い得て妙だ。  かつての僕を知っている大男の中須賀もまた、腕組みをしながら納得をしたと言わんばかりに大きく頷いている。 「御崎美鶴。鳳かざみと確実に交際できる手段があるとして……それが人道に反することだとすれば、君はどうする」 「当たり前のことを聞かないでくれ。かざみと生涯を共にするためなら、周りに何を言われても構わないよ」 「だとすれば、嵐山藍子は君に会いに来るだろう。例え、どんな事があっても」  三吉野の言葉によって、ランが口にした内容を思い出す。 『もし、あたしとの約束を守れたら、かざみっていう子を調べない方向で考えてもいいよ』  確かに僕は彼女と約束をした。  その条件を呑むために、デートの約束を履行する選択をしたのだ。  しかし、重要なことを忘れている。  嵐山藍子は『学校に来ない』とは言っていないのだ。  僕の脳は、勝手な拡大解釈をしていた。  鳳かざみを調べないということは、鳳かざみに関わるものに接触しないことであるという解答を掲げてしまっていた。  ゆえに、三吉野の言葉が、  囚人を閉じ込める牢のように重い口から紡がれる声の意味が、  全身に染みわたり、恐怖に震えてしまった。  そうだ。  過去の僕を思い返せば、簡単に分かったことだ。  僕は虐めの主犯格への復讐に手段など選ばなかった。  だとすれば、非常にマズい事になる。  もしも、ここにランが転校することになったとすれば、かざみの立場が非常に危ない。
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