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最悪の状況に対処しようと、脳をフル回転させているところに、
「御崎美鶴。隠れろ」
「ど、どうしたんだ三吉野」
「この足音は危ない。敵意を感じる」
戸惑う僕を教卓の下まで運び、無理やりに詰め込む。
避難訓練をしている気分だ。そういえば不登校な僕にとって、机に潜り込むなんていうのは三年ぶりだな。
「嘉菊、仁神彩月の招集と鳳かざみへの注意喚起。足音は女。ひとりの女がこの教室に来ている。恐らく、件の女。残り十秒未満で到着」
「嘘だろ!? 中須賀、お前見てこい!」
「はい! わかりました!!」
僕の取り巻きがどよめき、臨戦態勢を取る。
将棋の玉とはこのような気持ちなのだろうか。
もっとも、僕と玉の違うところは、可動域である。
この状態では、ひとマス先にすら移動できない。
「とりあえず、お前にかかってるんだぞ、中須賀。俺はあいつと積極的に話したくないからな」
無能な上司ほど嫌なことを下に押し付けるものである。
とはいっても、不良時代の中須賀は、ランと同期的なポジションだ。
それなりに仲睦まじく足止めしてくれることだろうから、人選的に正しいことも事実だ。
さあ、僕の愉快な仲間たちよ。
僕の身代わりになって、ランを追い返してくれ。
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