第3章「予想外の猛襲」

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 ――◆――◆――◆―― 『姉ちゃん。しばらく教室には近づくな』  と、ジョイントから通知が来た。  弟さんからだ。絵文字もスタンプも無いから雰囲気が怖い。  いつもなら、絵文字や顔文字を使ってくるのに、今日はなんだか変な感じがする。 「かざみちゃんも来たの?」 「サツキちゃんも?」 「私はこれ」  学食から教室に戻る最中のこと。  私とサツキちゃんは、互いのメッセージを見て首を傾げあった。  サツキちゃんの方には『神よ、今すぐ来られたし。美鶴の教室』と書かれている。  私には近づくなと言って、サツキちゃんは呼ぶって、どういうことなんだろう。 「私の名前、略されてるんだけれど」 「あ……(あが)められてるんじゃ……ごめんなさいっ」  フォローした瞬間に睨まれて、委縮してしまう。 「小学校のとき、よく男子からバカにされてたのよね。神様とかダブ(がみ)様とか金剛力士像とか」  携帯電話を片手でタイピングしながら、サツキちゃんは溜息をつく。 「カ行君からのメール返しているうちに、クラスには近づいてきてるし、結局どうすればいいのかしら? それに、私が余所(よそ)のクラスに行って、かざみちゃんが自分のクラスから離れるっていうのも変だわ」 「そうだよね。なんでだろう」 「もしかして、浮気?」  じっと私の目を見つめるサツキちゃん。  への字の口元にちょっぴり物怖じしてしまう。 「御崎君。違う女子を好きになったとか」  胸が少しだけ締め付けられた。  この気持ちは、なんだろう。   「でも、あれだけ口説いておいて、別の女に行くって頭おかしいし……だとしたら……」 「女子に襲われてる…………なんて」 「そんな事あるわけないじゃない。だって、御崎君よ? 私以上に口達者な子に限ってそんな――」   「?」  サツキちゃんが口を止めたことに違和感を覚えた私は、その表情が一点を見つめたまま固まっていることに気付いた。
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