第3章「予想外の猛襲」

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 私たちの正面には、中須賀君の姿。  女の人と話をしているみたいだけど、どこかで見たことのある背中だ。 「ねえ、中須賀。かざみっていう女子のこと、知ってるんでしょ? 教えてよ」 「兄貴から聞いてるぜ嵐山。姐さんに良からぬことをしてるってな。そんな奴にゲロってたまるかよ」 「嘉菊……いつも余計な事ばっかするよね。あたしはただ、美鶴を振り回してる女に文句言ってやろうと思ってるだけなのに」  嵐山という言葉。そして、特徴のある強い声に驚く。  この人、もしかして、あの有名な嵐山藍子さん?  弟さんが警戒しているってことは、間違いないよね。  この間、小耳に挟んだし。 「姐さんからは嵐山と約束してたって聞いたぜ? 鳳さんのことは調べないってな」 「調べてないじゃん。あたしのやってる事が美鶴にとって都合の悪い事だとしたら、それは美鶴の伝達能力がダメだっただけでしょ?」 「テメエ!」  中須賀君が黒髪ポニーテールの女子の襟首をつかむ。 「いいの? せっかく奇跡的に合格した高校、停学になっちゃって。本当は柔道でいい成績をとって試験にパスしようとした矢先、片腕がダメになって諦めてた場所じゃん」 「こ……このアマ」  中須賀君がこういう口調で話をしている姿は初めて見た。  今まで、嵐山さんの影響で気付かなかったけど、ですます口調で話をしない中須賀君は結構怖い。  本物の番長みたいだから。  でも、怖がっている私を置いて、  恐ろしい雰囲気を出している中須賀君に向かって、サツキちゃんが足を進めた。  そして、 「ねえ、玄馬君。この人、誰?」 「えっと、嵐山藍子。(もと)不良仲間(どうりょう)です。とりあえず、()……」 「カ行君の言いたいことが理解できたわ。玄馬君は、お口にチャックしてなさい」  小さな背中から漏れた声は、笑っているように聞こえた。  だからこそ、心が張りつめるような圧を感じる。  
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