第3章「予想外の猛襲」

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 サツキちゃんの声に反応した嵐山さんが問いかける。 「あんたが……かざみ?」 「だったら、どうだっていうのかしら」 「単刀直入に言うよ。美鶴から手を引いて。アレはあんたが易々と関わっていいような人間じゃない」    ちらりと覗いた横顔は、桐野先輩とは違う形の『女子らしい格好よさ』が溢れていた。  切れ長の目、白い肌、薄い唇。  桐野先輩がモデルのような格好良さとしたら、嵐山さんはロック系だ。  美鶴くんは私のことを『キリっとした強く優しい目』だって言ってくれるけど、嵐山さんには到底敵わないと思う。  羨ましいな。背丈も普通だし。 「なるほど、わかったわ」  私の意思を無視して解答するサツキちゃん。  どうしてだかわからないけど、サツキちゃんの出した答えに苛立っている自分がいる。  でも、その苛立ちはすぐに消えた。   「好きな人に好きな人ができた。しかも、自分じゃ敵わないことは明白な相手だとわかってしまったから、脅して戦意喪失させようという作戦に出た」 「……」 「芸能人の癖に、使う手段がチープね。三流のドラマでもこんな事しないわ。それとも、私の意見について意義申し立てはあるかしら?」  私が思ったのと違う受け答えをしたサツキちゃんの横顔が笑う。  我が親友ながら恐るべし、なんて思ったり思わなかったりした。  だって、初対面の芸能人を相手にして緊張ひとつせずに論破しにかかってるんだから。  恐ろしくないわけがない。 「へえ、美鶴ってこんな自意識過剰ちゃんが好みなんだ」 「質問に答えるっていう意味がわからないんですか? それともおバカ系アイドルで売り出す方針ですか?」  嵐山さんの顔を見上げるサツキちゃんの言葉遣いにトゲを感じる。  美鶴くんとサツキちゃんの言い争いは普段聞いていたけど、ここまでワンサイドゲームになったことはなかった。  だから気付かなかったんだけど、サツキちゃん……煽りスキル凄くない?
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