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と、思ってから気付いた。
そういえば、美鶴くんの気配がない。
確か、今日は弟さん、中須賀君、三吉野君と三人でお弁当にするって言ってたはず。
ここにいないとしたら図書室かな?
弟さんは教室の中にいるらしいけど、ここからじゃ見えないし。
「ちゃんとした返事ね……あたしが美鶴とどこまでいってるか見せてあげる」
ペラっとしたものをサツキちゃんに突き出す嵐山さん。
小さくてハッキリとはわからないけど、プリクラかな?
目の前に押し付けられた写真に視点を集中させたサツキちゃんは、まるで裸眼じゃ何も見えない人みたいに目を細める。
同時に「んんん?」と声に出しているのが、鑑定団みたいでちょっと面白い。
「ハコフグがどうしたの?」
「これ、美鶴」
「…………」
少しだけ、サツキちゃんの顔が青ざめた気がした。
そして、おもむろにケータイを両手でいじったと思うと、
『あいつ、絶対潰すから』
私のジョイントに物凄く不謹慎な言葉が飛び込んできた。
「どう? これでわかった? あたしは既に美鶴と付き合っているようなものなの」
嵐山さんの声に、身体が固まる。
それってどういうこと?
美鶴くんは、私の事を好きになってくれて、
だけど、それを保留にしたのは他でもない私自身で、
もしかして、美鶴くん……私に嫌気が差しちゃったのかな。
心当たりは沢山ある。もしも、私に伝えてくれた気持ちが本当なんだとしたら、私は彼の気持ちから目を逸らし続けてきたことになるから。
そこに、私なんかよりずっと可愛い子が「付き合ってほしい」って言ったとしたら、絶対にOKしちゃうよ。
だから、美鶴くんは悪くない。
ちゃんと状況は理解できてる。
なのに、どうしてこんなに胸が痛いんだろう。
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