第3章「予想外の猛襲」

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 呼吸を整えて、右足からゆっくりと前進。  大丈夫。嵐山さんは悪い子じゃない。  誰かを大切に思う気持ちを持っている人が、悪い人なわけがない。 「嵐山さん」 「あんた誰?」  近づいた私に敵意を剥き出しにする嵐山さん。  それと一緒に、目を丸くしたサツキちゃんの表情が映る。 「私が……鳳かざみです」 「今まで、あたしがアウェーなのを見て笑ってたの?」 「違うよ。違うけど……嵐山さんにとってはそうなんだと思う」  そういう捉え方をされても仕方がない。  私はそういう判断をしてしまった。 「あたしにとっては……ね。ずいぶん余裕のある言い回しじゃん。言いたいことがあるならハッキリ言えば?」  嵐山さんの姿が、中学三年の頃の美鶴くんとダブって見えた。  サツキちゃんと料理対決をした時の、相手に対して1ミリの容赦もなかった頃の美鶴くんに。  きっと、私が敵対関係にあったら、美鶴くんはこんな対応をするんだと思う。   「えっと……私は……」 「となりの子に代弁してもらう?」 「ううん。私は嵐山さんとちゃんと話をしたいから」 「そう。あたしが言いたいのはひとつだけで、話すことなんて何もないんだけどね」  嫌いな人とは話もしたくない。  今の美鶴くんでも言いそうだなあ。  バレンタインの時にお菓子を作った時も、似たような反応されたもんね。 「美鶴から手を引いて」  サツキちゃんが言われていた事と同じ内容を告げられた。   「……」  言葉が出なかった。  何を言っていいのかが、わからなかった。
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