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「あたしたち変わったよね。ねえ、最近はどうなの~? 駄菓子一年分のギャラは、もう貰った?」
「……っ」
くしゃっと泣きそうな顔になった嵐山さんは顔を俯けた。
青野さんは、なだめるように「よしよし」なんて言いながら、頭を撫でた。
「やめて」
「ランコ。大丈夫……もう、終わったことだよ」
「勝手に納得して終わらせないでよ!」
でも、嵐山さんは今にも泣きだしそうで、
青野さんをすり抜けるように廊下を走り去っていく姿はまるで、何かから逃げているみたいだった。
二人に何があったのかはわからない。
でも、離れていく二人の距離を目で測りながら、色んな感情が複雑に絡んでいるんだと感じた。
虐められている時のような『嫌悪』とか『悪意だらけの好奇心』とは違っている何か。
大切に想っているからこそ、どう接するかがわからなくなっているようなイメージを受け取った気がした。
「鳳さん、ランコは疲れるでしょ~。でも、可愛いよね」
心配そうに笑いかける青野さん。
私としては、青野さんの方が心配で仕方がない。
「そんなこと……ないよ。青野さんこそ大丈夫?」
「まあ、中学ぶりだからね。例えるなら何年もお預けされてた激辛料理を食べちゃった気持ち~」
それ、重症じゃないかな?
「ランコの言葉は、半分冗談みたいに聞くのが丁度いいよ。押し付けがましい正義の味方みたいな性格してるから~」
遠くに消えた嵐山さんの残像を探すかのように、合間合間で視界を逸らす青野さん。
どういう関係かはわからないけど、きっと仲のいい友達だったんだよね。
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