第3章「予想外の猛襲」

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 じゃれあったのは何年ぶりだろうか。  軽い口論になったら、いつもこうやって喧嘩をしていた気がする。 「美鶴がダサいのが悪いんじゃん。なに逆切れしてんの」 「む、ムカついたぞ! 覚悟しろ」  そういって、こちらもランの弱点である脇に触れようとした瞬間、 「ちょっと!」  焦りの感情が混じった声で、動きを制止された。 「胸触ろうとしたでしょ」  同時にありもしない疑念をかけられる。  当然、僕としては抗議するしか手はない。 「いや、僕は脇をくすぐろうとしたんだ」 「お互いもう子供じゃないんだからさ。女子にそういうセクハラみたいなことをするのって……」 「中学の時は気にしなかっただろ。なんで突然こんなことを?」  質問を投げかけると、 「エゴサーチしたらさ、歌とは全然関係ない記事が書かれてたんだよね。彼氏は誰とかバストはいくつとか」 「ああ、確かに大きくなったな。昔は僕の手にすんなり収まるぐらいだったのに……ポトフ!?」 「そういうところ変わらないよね。次やったら本気で殴るよ?」  暴行されたうえに牽制された。  さらに、 「もしかして、鳳さんにもそういうこと言った? キミのおっぱい驚くぐらい大きいね、とか」 「そんな品のないこと、僕は言わない」  言った気がする。  それも初対面のときに、僕の顎がかざみの胸に当たるような事を。  もしもタイムマシンに乗れたなら、一年前の僕をハチの巣にしてやりたい。
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