第4章「繋がり」

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  ――◆――◆――◆―― 『美鶴には内緒な。殺されるから』  家に帰ってからしばらくすると、弟さんから美鶴くんの状況を聞かされた。  補足だけど、これは私から聞いたのじゃなくて、弟さんが私の心境を考えたうえで言ってくれたこと。  だけど、今までの不自然な行動が全部繋がった。  ドラマとかで浮気してる男の人って、みんなこんな感じの反応なのかもしれない。  美鶴くんの場合は浮気じゃないけど。  だからかな。  かける言葉が見つからない。 「大変だったね……だと、ちょっと淡白だし。私のためにありがとう……っていうのは、なんか自意識過剰だよね」  昔から誰かと喋るのが下手だった。  ありふれた話ならできる。  でも、誰かとぶつかり合うような。  学校では「ディベート」って呼ばれているものが苦手だった。  小学校の時は、いつまでも喋らないまま授業が終わったこともあったっけ。  美鶴くんにメッセージを送ろうとしては何度も消しての繰り返し。  私、どうしたらいいのかな?  夕食後。  部屋の中で美鶴くんとのメッセージを確認する。  もしも、嵐山さんと付き合ったら、私に向けてくれた沢山の想いが全部消えてしまう。  そうなったとしても、美鶴くんと嵐山さんは悪くない。  悪いのは、いつまでも美鶴くんに返事ができない私なんだ。
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