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『美鶴には内緒な。殺されるから』
家に帰ってからしばらくすると、弟さんから美鶴くんの状況を聞かされた。
補足だけど、これは私から聞いたのじゃなくて、弟さんが私の心境を考えたうえで言ってくれたこと。
だけど、今までの不自然な行動が全部繋がった。
ドラマとかで浮気してる男の人って、みんなこんな感じの反応なのかもしれない。
美鶴くんの場合は浮気じゃないけど。
だからかな。
かける言葉が見つからない。
「大変だったね……だと、ちょっと淡白だし。私のためにありがとう……っていうのは、なんか自意識過剰だよね」
昔から誰かと喋るのが下手だった。
ありふれた話ならできる。
でも、誰かとぶつかり合うような。
学校では「ディベート」って呼ばれているものが苦手だった。
小学校の時は、いつまでも喋らないまま授業が終わったこともあったっけ。
美鶴くんにメッセージを送ろうとしては何度も消しての繰り返し。
私、どうしたらいいのかな?
夕食後。
部屋の中で美鶴くんとのメッセージを確認する。
もしも、嵐山さんと付き合ったら、私に向けてくれた沢山の想いが全部消えてしまう。
そうなったとしても、美鶴くんと嵐山さんは悪くない。
悪いのは、いつまでも美鶴くんに返事ができない私なんだ。
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